
デジタルマーケ・AI研修における「【G検定対応講座(2)】人工知能をめぐる動向」のコース概要
コースの概要
人工知能の「これまで」と「いま」を、広く深く学ぶ
このコースでは、人工知能の進化を支えてきたさまざまな技術を通して、AIがどのように「考え」「動き」「学ぶ」のかを、実例とともに学んでいきます。探索や戦略、知識処理から、近年注目を集めている大規模言語モデル(LLM)まで、AIの中身を少しずつひも解いていきます。
たとえば、迷路を解いたり、ゲームで次の一手を選んだりといった場面では、AIが効率よく選択肢を探すアルゴリズムが活躍します。その中には、状況に応じて柔軟に戦略を変える方法もあり、意思決定の仕組みを知ることでAIの振る舞いがより身近に感じられるはずです。
また、AIが行動の順序を自分で決めて目標を達成する「計画」の考え方や、膨大な知識をどう整理し、推論に使うかといった知識の扱い方も学びます。ここでは、過去の代表的なシステムも登場し、今に続く技術の原点を知ることができます。
人間のように会話するAIにも目を向けます。単純なルールで返す仕組みと、膨大なデータから答えを導き出す仕組みでは、まったく違うアプローチが使われており、それぞれの特徴を比べながら理解していきます。
さらに、Web上の情報をより意味のある形で活用する技術や、大量のデータから知識を見つけ出す手法も取り上げます。ビッグデータの可能性と、情報が多すぎて逆に扱いづらくなるという難しさにも触れます。
そして最後に、ChatGPTのような最新の言語モデルについても学びます。どうやって文章を理解し、どのように応答をつくっているのか。その裏側にある仕組みを知ることで、AIとの関わり方も少し変わってくるかもしれません。
人工知能はひとつの技術ではなく、いくつもの考え方や工夫が積み重なってできています。この講座では、そうした多彩な要素をバランスよく学びながら、AIをより深く、現実的に理解する力を育てていきます。
コース詳細
<01>探索アルゴリズム
この授業では演習問題を通して探索アルゴリズムを学びます。
探索とは、コンピュータが与えられた目標に向かって最適な経路や解を見つけるための手法です。本授業では、幅優先探索と深さ優先探索という基本的な探索アルゴリズムの特徴を理解し、それぞれの利点と欠点を学びます。適切な探索アルゴリズムを選択することで、計算効率やメモリ消費を最適化できることを確認しましょう。
<02>探索と戦略アルゴリズムの概要
この授業では演習問題を通してゲーム戦略アルゴリズムの概要を学びます。
ゲーム戦略アルゴリズムは、ボードゲームなどにおいて最適な手を見つけるための技術であり、Mini-Max法、αβ法、モンテカルロ法といった手法が存在します。本授業では、それぞれのアルゴリズムの仕組みや特徴を理解し、ゲームAIの意思決定プロセスについて学びます。
<03>計画と行動であるプランニング
この授業では演習問題を通して計画と行動(プランニング)を学びます。
プランニングとは、AIやロボットが目標状態に到達するために計画を立てる手法です。STRIPSは、行動の前提条件・行動内容・結果を記述することで、効率的な計画を立てるフレームワークとして機能します。また、SHRDLUは「積み木の世界」を用いたプランニングシステムとして開発され、AIによる目標達成の基礎技術の一例とされています。本授業では、それぞれの特徴を学び、プランニングの概念を理解します。
<04>知識表現に関する基本的な概念
この授業では演習問題を通して知識表現に関する基本的な概念を学びます。
知識表現は、AIが情報を理解し、推論するための重要な技術です。意味ネットワークは概念間の関係を視覚的に表現し、オントロジーは知識を体系化して共有可能にする方法論として活用されます。また、Cycプロジェクトは、人工知能が常識を獲得する試みとして重要な研究でした。本授業では、これらの概念を整理し、AIの知識処理の仕組みを理解します。
<05>エキスパートシステムの基礎と代表例
この授業では演習問題を通してエキスパートシステムの基本概念を学びます。
エキスパートシステムは、特定の分野の専門知識をデータベース化し、それを基に推論を行うAIシステムです。DENDRALは化学分析を支援するシステムとして開発され、MYCINは感染症の診断支援に活用されました。また、Question-Answering技術は、エキスパートシステムだけでなく、検索エンジンや音声アシスタントなどにも応用されています。本授業では、これらのシステムの特徴と知識表現の方法について学びます。
<06>人工無脳と質問応答型AI
この授業では演習問題を通して人工無脳や質問応答型AIの基本概念を学びます。
人工無脳は、ルールベースで会話を生成するシステムであり、知識を理解するわけではありません。一方、質問応答型AIは、大量のデータから回答を生成する技術で、IBMのワトソンはその代表例です。また、東ロボくんは大学入試問題を解くために開発されましたが、汎用AIではありません。本授業では、それぞれのシステムの特徴を理解し、AIの会話や質問応答技術について学びます。
<07>インタビューシステム・データマイニング・ウェブマイニングの理解
この授業では演習問題を通してインタビューシステム・データマイニング・ウェブマイニングの基本概念を学びます。
インタビューシステムは、専門家の知識を体系的に収集し、特に暗黙知を明確化するための手法です。データマイニングは、大量のデータからパターンや関係性を抽出する技術で、ビジネスや医療など幅広い分野で活用されます。一方、ウェブマイニングは、インターネット上のデータを分析し、有用な情報を抽出する技術です。本授業では、これらの手法の特徴と活用方法を理解し、知識獲得の実践的なアプローチについて学びます。
<08>セマンティック技術の概要
この授業では演習問題を通してセマンティック技術の基本概念を学びます。
セマンティックWebは、ウェブ上のデータに意味を付与し、コンピュータがその文脈を理解できるようにする技術です。オントロジーは、概念や用語の関係を体系化し、データの整理・共有を促進する基盤技術として活用されます。これらの技術は、検索エンジンの精度向上やデータの一貫性確保に貢献しています。本授業では、セマンティック技術の仕組みとその応用について学びます。
<09>ビッグデータと次元の呪い
この授業では演習問題を通してビッグデータと次元の呪いを学びます。
ビッグデータは、機械学習やAIが大量のデータを活用してパターンを見つけ、高精度な予測や分類を可能にする技術です。しかし、データの質や前処理も重要であり、単にデータが多いだけで精度が向上するわけではありません。一方、次元の呪いは、特徴量の増加によりモデルの学習が困難になり、汎化性能が低下する問題を指します。これに対する解決策として、特徴選択や次元削減(PCAなど)が用いられます。本授業では、これらの概念を理解し、データ分析の課題と解決策を学びます。
<10>スパムフィルタとレコメンデーションエンジン
この授業では演習問題を通してスパムフィルタとレコメンデーションエンジンについて学びます。
スパムフィルタは、機械学習の二値分類の代表例であり、電子メールを「スパム」または「スパムではない」に分類します。一方、レコメンデーションエンジンは、過去の購入履歴や閲覧データを基に、パーソナライズされた提案を行うシステムです。これらの技術は、日常生活の中で広く活用されており、機械学習の実践的な応用例として重要です。本授業では、これらの基本概念と実際の活用方法を学びます。
<11>LLM (大規模言語モデル)
この授業では演習問題を通して大規模言語モデル(LLM)を学びます。
LLMは、自然言語処理(NLP)を進化させるために開発された大規模なAIモデルであり、膨大なテキストデータを学習して人間のような文章生成や会話を可能にします。その基盤には、トランスフォーマーアーキテクチャが用いられており、特に自己注意機構(Self-Attention Mechanism)により長い文脈の理解が向上しています。LLMの学習プロセスは、まず一般的な知識を習得する事前学習(Pre-training)、その後に特定のタスクに適応するファインチューニング(Fine-tuning)の2段階で進められます。本授業では、LLMの仕組みとその活用方法について学びます。